正月が一番好き(音上ドン高校生IF)
ある高校のお昼休み。
ドンはいつもの席でいつものように重箱に詰められたおせち弁当を
食べていた。周りではドンの取り巻きの女子達が居る。
見た目の怖さとは裏腹に性格の良いドンは、案外女子生徒に人気があるのだ。
「見て、ドン君のお弁当。毎日おせちだよ。流石音上家はお金持ちだけあって
すごい豪華なお弁当だよねー」
「私の家なんて毎日お母さんが忙しいからいつも同じメニューだよ……。
ドン君は毎日美味しいもの食べられて羨ましいな。しかも毎日早起きして自分で
作ってるって聞いたよ?」
「そうなの!? すごいね、料理もピアノも上手いなんて。
私、ドン君のお嫁さんになりたーい!!」
そんな女子達の黄色い声には耳を貸さず、ドンは冷静に弁当を食べ続けている。
幼い頃母がお正月に作ってくれたおせちを初めて食べて以来、ドンの好物は
おせちになり、気づいたら昼食の弁当もおせちになっていたのだ。
(……やっぱりおせちは最高だな。普通はお正月にしか食べないらしいけど、
これなら毎日でも行けるな)
そんなことを思いながら、ドンは幸せそうな笑みを浮かべた。