ラッキーレイン(PPPPPP/ドルパロ)
とある町の路上。
地下アイドルのラッキーは今日も握手会を開いていた。
最初は知名度も低く来てくれる客もいつも同じ顔触れだったが、
日を追うごとに少しずつ増えていき、今ではラッキーが幼い頃に
家族で観たテレビに出演しているアイドルまで来るようになった。
その中でもここ最近よく来る人物が居た。
その名はレイジロウ。ラッキーが好きだった音楽番組でいつも
ラストを務める6つ子アイドルユニットのボーカル担当のアイドルである。
「次の方、どうぞー。あ、今日も来てくれたんですね」
「今日の新曲もすごく良かったよ! 次のステージも絶対観にくるから、
頑張ってね!」
そう言って力強く握手してきた。レイジロウは見た目と裏腹にかなりの
怪力なのだ。
騒がれないように変装してラッキーに会いに来るレイジロウなのだが、
ファン(特に女性)はレイジロウがラッキーのライブに来ることを見逃しはしない。
「あのっ、人気アイドルのレイジロウさんですよね!?」
「また見つかっちゃったな。流石レイジロウさんは人気者ですね」
「目立ちたくないのに……何で皆僕だって分かるんだろう……?」
「それはレイジロウさんが生まれ持った資質なんじゃないですか?」
「僕はそこまでしなくてもいいと思うんだけど……それはさておき、次の
ステージも絶対来るからね!」
そう言ってレイジロウはそそくさと人目を避けるように去って行った。