ラッキーレイン(PPPPPP/ドルパロ)
とある町の路上。
地下アイドルのラッキーは今日も握手会を開いていた。
最初は知名度も低く来てくれる客もいつも同じ顔触れだったが、
日を追うごとに少しずつ増えていき、今ではラッキーが幼い頃に
家族で観たテレビに出演しているアイドルまで来るようになった。
その中でもここ最近よく来る人物が居た。
その名はレイジロウ。ラッキーが好きだった音楽番組でいつも
ラストを務める6つ子アイドルユニットのボーカル担当のアイドルである。
「次の方、どうぞー。あ、今日も来てくれたんですね」
「今日の新曲もすごく良かったよ! 次のステージも絶対観にくるから、
頑張ってね!」
そう言って力強く握手してきた。レイジロウは見た目と裏腹にかなりの
怪力なのだ。
騒がれないように変装してラッキーに会いに来るレイジロウなのだが、
ファン(特に女性)はレイジロウがラッキーのライブに来ることを見逃しはしない。
「あのっ、人気アイドルのレイジロウさんですよね!?」
「また見つかっちゃったな。流石レイジロウさんは人気者ですね」
「目立ちたくないのに……何で皆僕だって分かるんだろう……?」
「それはレイジロウさんが生まれ持った資質なんじゃないですか?」
「僕はそこまでしなくてもいいと思うんだけど……それはさておき、次の
ステージも絶対来るからね!」
そう言ってレイジロウはそそくさと人目を避けるように去って行った。
とある休日(アオのハコ/大喜×雛)
今日はバド部の練習は休み。
休日は有難いのだが、いつも練習漬けの大喜には突然休みになっても
することがなくて困っていた。
千夏は彼女の祖父の手術のために帰国した母親と暮らしているので
誘うにも誘えず困ってしまい、とりあえずスマホを見ているとピロンとLINE
の着信音が鳴った。そしてLINEの画面を開くとクラスメイトの雛からだった。
🦋『今日、部活休みだよね? ショッピングにでも行かない?』
それを見て、大喜は迷わずに返信した。
🍛『いいよ、丁度することなくて暇だったから。どこで何時に待ち合わせる?』
少し間を置いて、LINEの着信を知らせる音がまたしてもピロンと鳴る。
🦋『じゃあ、10時に駅で待ち合わせしよ』
🍛『了解。今から支度して家出るから、先に行っててくれ』
🦋『ラジャー(#^^#)』
スマホを置き、ふぅと一息ついた。
女子とデートするなんて、前に千夏と水族館に行った時以来だ。
勿論それ以前にも雛と夏祭りに行ったことを含めても、三回目のデートだ。
大喜は悩んでいた。それは……。
(ヤバイ! 何着ていけばいいんだ!?)
服装のことである。ショッピングだしラフな格好でいいと思うのだが、
真面目な大喜はほんの些細なことでも悩んでしまうのだ。
「まぁ、買い物に行くだけだし、深く考えなくてもいいよな!
いつもの服でいいか」
悩んだ結果、ラフな服装で行くことに決めた。
デートだからと行ってめかしこんでいく必要はないだろうと思い、
大喜は家を出て、駅への道を歩き出した。
正月が一番好き(音上ドン高校生IF)
ある高校のお昼休み。
ドンはいつもの席でいつものように重箱に詰められたおせち弁当を
食べていた。周りではドンの取り巻きの女子達が居る。
見た目の怖さとは裏腹に性格の良いドンは、案外女子生徒に人気があるのだ。
「見て、ドン君のお弁当。毎日おせちだよ。流石音上家はお金持ちだけあって
すごい豪華なお弁当だよねー」
「私の家なんて毎日お母さんが忙しいからいつも同じメニューだよ……。
ドン君は毎日美味しいもの食べられて羨ましいな。しかも毎日早起きして自分で
作ってるって聞いたよ?」
「そうなの!? すごいね、料理もピアノも上手いなんて。
私、ドン君のお嫁さんになりたーい!!」
そんな女子達の黄色い声には耳を貸さず、ドンは冷静に弁当を食べ続けている。
幼い頃母がお正月に作ってくれたおせちを初めて食べて以来、ドンの好物は
おせちになり、気づいたら昼食の弁当もおせちになっていたのだ。
(……やっぱりおせちは最高だな。普通はお正月にしか食べないらしいけど、
これなら毎日でも行けるな)
そんなことを思いながら、ドンは幸せそうな笑みを浮かべた。